家に帰るなり、「なぁ、なぁ、喉がヘンやねん!!」と飛んでくるママさん。

どうやら、風邪の初期症状のようです。

喉が痛くて、イガイガして、異物感があるらしい…。

「熱ある?」と聞くと、「ない」と言い、「他の症状は?」と聞くと、「ない」と言うママさん。

んなわけないやろぉ!!!ということで、問診開始。

舌を見ると、まっかっか!しかも、ボテッとしているし、小さな点てんもある。

「あぁ、熱やなぁ…」と言うと、「熱はない!」と言い張るママさん。

「あんなぁ、体温計の熱じゃなくて、熱を持っているっていう意味の熱やねん」と説明すると、「あっ!じゃ、体を冷やすものを食べたらいいんや!!」と言うママさん。

さすが漢方のことを語り、薬膳の指導をしてきただけある!

でも、ちょっと間違い。

「体を冷やすもの」じゃなくて、「体の熱を取るもの」が正解です。

食物には、温性のものと寒性のものがあり(平性もあります)、それぞれ体を温めるもの、体を冷やすものです。

でも、「体を冷やす」ものすべてが熱を取ってくれるものではありません。

食物には、「体の余分な熱をとる」効能があるものがあります。

それは、ハトムギ、緑豆、小豆、豆腐、金針菜、胡瓜、冬瓜、ニガウリ、ナス、セロリ、キウイフルーツ、柿、パイナップル、バナナ、イチジク、蛤、サザエ…などです。

そして、熱があると、汗をかきますが、その汗と一緒に体に必要な栄養分まで出てしまうので、必ず補ってあげないといけません。

だから、風邪が回復する頃には、お粥を食べるんですね。

ということで、ママさんに漢方薬を飲ませて、薬膳をすることにしました。

でも、うちは漢方薬局じゃないので、家にある漢方薬は限られています…。

そこで思い出したのが、皮膚炎のときに飲んだ「黄連解毒湯(おうれんげどくとう)」。

効能は、「瀉火解毒」なので、ジュクジュクしたニキビや赤くただれるような皮膚炎に効きます。

出血や湿を伴う炎症に効果が出るので、鼻炎などに使うこともあります。

ママさんは、喉が赤くはれていて、鼻もグズグズしているので、これをお湯に溶かして飲んでもらうことにしました。

完全な適応ではないけど、とりあえず熱を冷ますために…。

ひとこと言っておかなきゃ…と思った矢先に、

「うぇーーーーっ!!」という叫び声。

「いい忘れたけど、ごっつい苦いねん…」と言うと、「もっとはよ言え!!」と怒られてしまいました…。

そして、気をつけることと明日することを説明。

晩ご飯のときのお茶は、ハトムギ茶。熱を冷まして、尿から出してくれます。

咳が少し出ていたので、豆乳に杏仁霜を入れて飲んで、さっさと寝る。

脈が速く、熱が出ることが予測されるので、枕元にタオルと水を準備。

明日は、緑茶+菊花+クコの実のお茶を飲む。ショウガ、ネギなどは控える。

熱で唇が荒れるので、はちみつを塗ってラップでパックをするといい。

緑茶でしっかりうがいをする。

…などなど。

悪寒もなしに急に喉や咳にくるのは、虚弱な証拠…。

早く治しておかないと、咳が長引いてしまいます。

ママさん、早く元気になっておくれ。

それにしても、私は風邪を引かなくなったなぁ。

今までは、年に5回は風邪を引いていたのに…。

漢方と薬膳のおかげです。ありがたや、ありがたや。